クリニック通信
2025年5月18日麻疹騒ぎとワクチン事情
こんにちは。今日はどんより空、そのくせやたらと蒸し暑いですね。花壇のビオラvs雑草軍団の戦いは雑草軍団の圧勝です。他人からの評価を気にせず逞しくて強いなあ。ちょっと尊敬します。
インフルエンザも終わり、コロナも落ち着き、少し落ち着いていた感染症に麻疹と百日咳が割り込んできました。どちらもインフルエンザの様な大流行ではありません。麻疹は茨城ではこの数年来最も多い発症数ですが、それでも現時点では21例程で殆どが成人です。小児の発症は2例のみで、何れも海外旅行先での感染でした(現時点ではベトナムが最多、アメリカではテキサス州)。潜伏期間は10日前後なのでGW中海外旅行をされた方もちょっとホッと出来そうです。ただ、海外旅行熱の高まる日本では海外で感染して日本で発症する可能性が今後もあります。
麻疹はワクチン接種の有無で危険性が大きく左右されます。未接種の方にはとても重い病気。最初は感冒と見分けのつかない38℃台の発熱と強めの咳鼻汁、3~4日して少し熱が下がってきたかなと思うと翌日40℃前後の高熱になって、同時に赤みが強い派手な発疹が全身に広がります。発熱期間は1週間程かかって自然に下がり、発疹は茶色い色に変化します。特効薬はありません。熱も辛いし咳も辛いし、相当消耗します。稀ではあるものの重症な肺炎や脳炎を併発することもあります。昔、大流行した時は救急病院に勤務していましたが、2例の方が治療も追いつかずに亡くなり、1例は寝たきりの後遺症を残しました。インフルエンザより遥かに重い、子どもにとって最も危険な感染症の一つです。
更に感染力が非常に強いことも問題です。インフルエンザやコロナの比ではありません。患者さんが居なくなった後も空気中にふわふわ浮き続けて、同じ部屋に居た全員に感染してしまいます。だから流行地に海外旅行後2週間以内に発熱した方や発熱中に急に発疹の増えてきた方、麻疹の患者さんと接触後2週間以内に発熱した方は、院内に入らずに必ず受診前にご連絡ください。
ワクチンを1回でも接種した方は軽症化し感染力も弱まります。2回接種していれば殆ど罹りません。今回の発症報告に成人が多いのは1回しか接種していなかった方が多かったためです。だからワクチンがとても大事。定期接種として1歳で1回、5歳過ぎにもう1回接種します。ここで更に問題が、、麻疹ワクチンを製造している製薬会社3社のうち1社に不具合が見つかって秋まで製造が中止されました。ワクチンの供給が滞って必要な方にも接種が出来なくなっています。そのため、今は重症化しやすい未接種者が最優先です。1回接種した方は90%以上に免疫がついており罹りにくく重症化は防げます。接種通知の来た2回目の方は少しお待ちください。特例措置として無料接種期間が1年から2年に延長もされました。2回目の接種ができるようになったらホームページ上(新着情報)でお知らせしますね。麻疹については2018年4月ブログ「はしかが流行ってる?」もご参照ください。
だらだら長いことで知られる私のブログは今回も長くなってしまいました。百日咳のお話は次回にします。これもワクチン未接種の赤ちゃんには命に関わる危険な病気です。