クリニック通信

2017年10月15日涙の国際学会ー前編ー

こんにちは。今日も雨、気温が一気に下がって植えたばかりのビオラがちょっと寒そうです。10月は咳鼻のしつこいウイルスが流行する時期、そして、最も喘息発作が起こりやすくなる時期でもあります。元気があってよく眠れている咳は多少長引いても心配ありませんが、胸からヒーヒーした音が聞こえて苦しがることがある場合は受診してくださいね。喘息既往のある方は落ち着いていてもしっかり予防内服を続けましょう。

もう11年も前になります。私は前職の救急病院で働きながら、筑波大学の遺伝学教室で医学博士になるための研究をしていました。喘息発作に対する気道ウイルス感染の関与についての研究です。偉そうに言っていますが、当時は、いや、学位取得後の今でさえも良く分からないままに(ダメじゃん)、お師匠さんに言われる通り試験管を振っていました。研究を始めて1年を過ぎた頃、あまりに勉強をしない私に活を入れるためもあってか、お師匠さんが言いました。「今度ウイーンでアレルギーの国際学会があるんだけど、発表して来ない?ポスターを貼っておくだけだから簡単だよ。」知らないことは怖いこと、私は学会と称して病院休んで海外旅行に行けるんだと、単純に思い込み、つい承諾してしまいました。

実は私は英語が出来ません。中学からの10年近い英語教育は全く実を結びませんでした。世間様からは、お医者さんは英語が出来ると思われていますが、そんなことは全くありません。外国の患者さんが外来にいらっしゃると、隣で診察している同僚と必死にカルテを押し付けあい、自分にカルテが回ってくると泣きそうになります。文法は既に崩壊し、「え~っと・・・・・それで・・・」と日本語交じりの片言になり、その日本語さえもイントネーションが怪しくなります。「病院名はツクバメディカルセンターって英語なのに、何で君は英語が出来ないんだっ!」と怒られたこともあります。英語の論文は要約とグラフだけ見て分かったような気になっていました。

そんなレベルなのに発表は半年後、後になって事の重大さに気づいてきました。早速「NOVA」に通い始めましたが、たった半年で身に着けられるものなら、その前に10年あった英語教育で既にペラペラになっていたはず。ついでに自分の研究内容は、日本語で説明しろと言われても出来ないくらい理解していません。更にお師匠さんが一緒に行けないことになりました。私一人で遠い異国に赴かねばなりません。正直、何かあったらお師匠さんが何とかしてくれると思っていただけに事態は深刻です。お師匠さんの言う「ポスター貼った後は何処に行ってもいいんだよ。」の言葉にすがるだけです。

 

涙が止まらなくなってきたので、後編に続く、、

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