クリニック通信

頭ごっつんこ ~転んで頭を打った時、擦りむいた時の対処~

こんにちは。待ちに待った青空ですね。すっかり花の減った朝顔が嬉しそうです。子どもたちは一斉に外に遊びに行き、転んで擦りむいては大泣きして帰ってきます。

お子さんは元気であればある程ケガが絶えないものです。友達にぶつかった、転んだ、ベッドから落ちたなどなど。「気をつけなさい」の声掛けなど右の耳から左の耳を通り抜け、あちこちにすっ飛んで行っては泣いて帰ってきます。転んでも受け身を取らないものだから、大人では滅多にない顔面スライディングをして、鼻とおでこを擦りむくこともしばしばです。痛い以上にびっくりして大泣き、心配が絶えないですね。赤ちゃんも負けじとあっちにコロン、こっちにコロン、ベッド柵に頭をぶつけて遊んでいます。

子どもは大人よりも頭の比重が高いので、転んだり落ちたりした時は頭を打つことが多いのですが、大事なのは打ち方とその後の元気具合です。

おでこ=前額部は最も骨の固くて厚い丈夫なところ。脳も頭蓋骨(頭の骨の器)の中で安定して収まっており、転んだだけでは滅多に脳に影響することはありません。一方、頭の横(側頭部)は骨が薄めです。頭の後ろ(後頭部)は赤ちゃんの脳はまだ未成熟で隙間が多いため、ぶつかった衝撃で脳が頭の中で揺れて骨にぶつかりやすくなります。滅多にはないことですが、畳の上に座っていた赤ちゃんがそっくり返って後頭部を打った後に硬膜下血腫を起こした事例もあります。

見ておくべきは受傷時の意識とその後の観察です。ぶつけてすぐに大泣きして、数分後にはケロケロ遊び始めるならすぐに心配はありません。呼んでも反応が乏しく、目の焦点が合わないようなら救急車を呼ぶべきです。また、直後は元気そうでも、丸1日はそばにいて注意して観察してください。頭蓋内(頭の骨の内側)の血管が切れて出血し、次第に脳が圧迫されて症状が出現することがあります。最初は元気そうでも数時間でぐったりして何度も吐き始める時、呼びかけに反応が乏しく、目の焦点が合わない時もすぐに救急病院を受診すべきでしょう。その後もケロッとして元気な時は心配ありません。たんこぶは出来るかもしれませんが見た目だけで数日で退いていきます。赤ちゃんで大きなぶよぶよした腫れが出てくる場合は頭皮と頭蓋骨の間に血が溜まっているのかもしれません(帽状腱膜下血種)。脳に対する危険はありませんが、念のため病院を受診しましょう。交通事故や高いところ(3m以上または身長の2倍以上)からの転落(高エネルギー外傷)は要注意ですが、低い高さだから安全とも言い切れません。どんな症状を伴うかが大事です。心配し過ぎず、でも油断もせずに見守ってあげて下さいね。

擦り傷の治療は変わりました。以前は消毒薬を塗って乾かすのが常でしたが、消毒薬は刺激性があって皮膚も荒らすし、非常にしみます。子どもの頃に消毒薬を塗っていたお父さん、お母さんはその痛みをご存じでしょう。つい「ひ~っ」と声が出て、「これくらい我慢しなさいっ」とペシっと言われたことを思い出しましたか?深い傷や汚い場所での傷でなければ、石鹸の泡でなでる様に砂や泥を取り除き、流水でよく洗い流せば痛みが少なくて済みます。その後、傷口からじくじくした液が滲みだしてきますが、これは皮膚の修復作用と抗菌作用を併せ持つ体液が傷口を治すために覆い始めているのです。乾燥するとその効果が薄れます。また、直接絆創膏を傷口に貼ると、乾いた体液が絆創膏にへばりついて剥がすときに痛くなってしまいます。傷口にはワセリンを塗って、傷に貼りつきにくいタイプのガーゼで覆ってあげれば、傷口も乾かず、痛みを伴わずにガーゼを交換出来ます。大事なことは細菌が入り込むことを防ぐために、洗浄とガーゼ交換を毎日怠らないことです。2~3日経っても傷口の赤みと痛みが周囲に広がる場合は化膿しているかもしれません。また、傷口に黄色い粒粒(脂肪)が見えるような深い傷の場合や、血が止まらない場合は外科や皮膚科のある病院を受診しましょう。

子どもはケガをしながらその経験値で防ぐことも覚えていきます。危険な場所でなければ、ケガを恐れずいっぱい遊ばせてあげましょうね。