クリニック通信

2014年11月24日救急搬送の後は、、、

こんにちは。昨日は穏やかで暖かい天気でしたね。このところ大忙しだったので、気分転換に電車で横浜に行ったのですが、午前10時の時点で駅前駐車場は既に満車!!3駅を探して結局見つからず、やむなくクリニックに車を置いて歩いて駅に行きました。連休恐るべし!

今日のお話しは深刻なものではありません。私は救急病院に居た頃、時々ヘリコプターや救急車で患者さんを搬送していました。ヘリ搬送と言うと某民放テレビ番組のように過酷だけどちょっと格好いいイメージを受けそうですが、私の場合は毎日あちこちを飛び回るようなドクターヘリではなく、重症度の高い患者さんをより高度な病院に搬送するもので、そんなに滅多にはありません。ヘリの中は爆音で会話も出来ず、とにかく狭くて患者さんと医師2人も乗れば身動きもままなりません。重症なので様々な医療機器に包まれ、小さな赤ちゃんではほんの数ミリずれるだけで呼吸の管も外れてしまいます。救急車と違い、道の脇にちょっと止めて入れなおすことは出来ません。極度の緊張の中、患者さんと自分の手元をじっと見つめ続けていると段々気持悪くなってきます。でも、こんなところで吐いたら一大事、幸いヘリは車で2時間以上かかるところをたった20分で搬送してくれるので、耐えて忍びます。そうして搬送先に着いた後にはあまり知られていない現実が待っています。ヘリは医師を待っていてはくれないのです。燃料の問題と次の任務のため、ヘリは3分で離陸しなければなりません。患者さんが無事病棟に収容されるのを見届け、搬送先のスタッフに申し送っているうちに、ヘリは私たちを置いて帰ってしまいます。緊張が解け、放心した状態でポツリとつぶやきます。「じゃあ、帰るか、、」。バスや電車を使って、来た道の10倍の時間をかけてトボトボと帰るのです。だから、救急搬送時には忘れてはいけない鉄則があります。「必ず財布と上着を持っていくこと」です。

もう20年以上も前になりますが、大学病院にいた頃、救急車で真冬の北茨城に担当していた患者さんを搬送したことがありました。以前に勤務していた病院なので、馴染みのスタッフと話し込んでいたら、気が付くと救急車は帰っていました。電車とバスで3時間かけて帰ったのですが、上着を忘れて来たためにワイシャツと白衣のみで帰らざるを得ません。真冬の常磐線はとてもとても寒く、白衣姿の私は更に冷たい視線に晒されました。そして、やっとの思いで大学に辿り着くと、待っていたのは猛吹雪のような叱責でした。実は日頃の激務と不摂生で喘息発作が再燃し、私自身が大学病院に入院していたのです。点滴が抜けた翌日の無断外出でした。怒られて当然です。

救急病院から颯爽と飛び立つヘリを見る度に思います。「上着持ったかあ?財布持ったかあ?」

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