クリニック通信

2021年6月30日夏風邪ウイルスの逆襲

こんにちは

梅雨真っ盛り。汗がひかずにじっとりとした天気が続きますね。せっかく植えたマリーゴールドが首を垂れてため息をついています。健兎も食欲が落ちてちょっと心配ですが、おやつは飛んできます。

昨年は新型コロナ緊急事態宣言の中、殆ど流行らなかった夏風邪ウイルス達が逆襲に転じました。6月から急に患者さんが増えてきました。半分が発熱で隔離が必要です。特別診察室と処置室の隔離スペースでは追い付かずにお車でお待ち頂いています。検査も増えたので、診察時間も2倍です。診察して検査して車に行って結果を説明して、大運動会です。診療開始を早めて終了を遅くして、お昼はカルテを見ながらおにぎり2個食べて10分間目をつぶってから午後の診療準備です。19時過ぎまで診察してから、カルテチェックと事務処理をして、、頭はプスプス煙を上げています。

発熱のタイプも様々です。咳の強い方、高熱だけの方、お腹をこわしている方。今季は熱の長い方が若干目立ちます。発熱4日以上の方全例と気になる症状経過の方には新型コロナを含めて積極的に検査を行っていますが、コロナが陽性になる方は現時点で1人も居らず、血液検査で大きな異常を来している方も殆どいません。

この時期で比較的多いのがアデノウイルスとRSウイルス。アデノは39℃以上の高熱が5日くらい長引くけれど咳鼻水は少なく、扁桃腺が真っ赤に腫れるのが特徴です。大きな合併症は少なく自然に治ります。一方、RSは咳鼻が強くて気管支炎をおこしやすいウイルスです。大きい子にはそれ程悪さをしませんが、生後6か月前後の赤ちゃんには注意が必要です。特に3か月未満のお子さんがいるご家庭でお兄ちゃん達の咳が激しい場合は、RSでないか念のため検査を行います。学童期で喉の痛みが強く、扁桃腺が腫れている時は溶連菌も疑います。

熱が高いから危険と言うことはありません。むしろばい菌退治をしようとしっかり免疫が働いているサインでお子さんの味方です。注意するのは熱以外の事。けいれん・意識が低下している(呼んでも反応が鈍い、目の焦点が合わない)・胸からヒーヒーした音が聞こえて息を吸う度に喉元が大きく凹んでいる場合はすぐに救急病院を受診しましょう。熱の上がり際は誰もが辛いもの。上昇時には頭痛・腹痛・嘔吐を伴うことがあります。その時はちょっと辛そうですが、下がった時に遊び始めるなら心配ありません。解熱剤は辛い時には使って楽にしてあげましょう。8時間空ければ繰り返して使っても構いません。ただ、熱の高さだけで決めてしまうと使い過ぎになります。39℃あっても遊んでいたり、眠っているなら必要ありません。食欲が落ちても元々蓄えた栄養があるので数日は大丈夫。少し熱が下がった時に消化の良いものを少しづつ摂りましょう。初日・2日目は夜に39℃を超えますが3日目から夜の熱が38℃前半に少し下がり、4日目に37℃台なら一安心。但し熱が下がっても体力は落ちているので、ぶり返さないように解熱後も最低2日間は自宅で大人しくしていましょう。咳で眠れない場合や元気が充分でない時は保育園はお休みです。下痢も食欲が戻って軟便が1日2-3日以内になるまでは登園は控えた方が無難です。4日目も高いを超える場合は念のため再受診してください。

予防は今までと同じ。手洗いの徹底です。今年の流行の一因には昨年よりも予防法が緩くなったこともあるかもしれません。もう一度おうちの予防の仕方を見直してみましょう。

気になるのは今回の逆襲の理由です。ウイルスは感染すると免疫を持ち、罹りにくくなります。昨年流行らなかったことで多くの方が免疫を作らなかったことも原因の一つかもしれません。この冬はインフルエンザが全く流行らず、多くの方が免疫を作る機会がありませんでした。来期はインフルエンザが逆襲して大流行しないか心配です。今年の秋もインフルエンザワクチンをしっかり接種しましょうね。

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