クリニック通信

2021年3月31日アレルギーの検査、、毎年するの?

こんにちは。何だか慌ただしく春になりましたね。3月に入って道端にオオイヌノフグリが咲いてきたなぁ、、と思っていたら、つくしんぼがニョキニョキ生えてきました。庭では水仙が黄色いラッパを吹きならして「春が来たよ~、もう春が来たよ~」と触れ回り、クリスマスローズが「えっ?もうクリスマス過ぎちゃったの?」と慌てて花を咲かせたのは2週間も前。木蓮がポコポコ咲いて来たら、桜が「ど~だあっ!」と言わんばかりにもう満開です。まだ4月に入ってもいないのに、、ウナギの様に間延びして日向ぼっこしていた健兎は、「暑い!何故?」と不満げに抜けた毛をまき散らしています。

3月は花粉症に加え、食物アレルギーで学校や園に提出するアレルギー生活管理指導表の更新のため、外来がアレルギー大会になります。診断書の山を前に残業の毎日です。

アレルギー血液検査を求められることがあります。また、園から「今年も食物アレルギーの血液検査をして来るように」と言われて来る方も少なくありません。中には「全ての食物を検査をして貰ってきてください」「食べられても検査結果が陰性にならないと食事が出せません」と言われて困って相談に来られる方もいます。

原因をはっきりさせたいお気持ちや、お預かりする責任、不安も理解できます。ただ、採血は、お子さんに強い恐怖と苦痛を与えてしまいます。大きい子であれば理解し、我慢してくれることもありますが、小学校に入る前のお子さんは(いや、入っても)、どんなに言葉を尽くしても「うん、大丈夫。頑張る。」とは言ってくれません。「見知らぬ人に突然拉致されて、無理やり押さえつけられて痛いことをされる」。その怖さは半端ありません。泣き声はクリニック中に響き渡ります。

アレルギー検査の結果が確実に症状と一致するのなら、痛くても怖くても行う意味があります。微妙な症状が検査ではっきりすることもあります。一方、検査が陽性でも症状が出ないこともあります。検査は諸刃の刃。不安だけ煽ってしまい、それまで普通に食べていたのに、検査が陽性だったから食べるのを止めてしまう方もいます。症状の出ない少量を摂取し続けることは、体が受け入れて寛解(治る)につながる可能性も期待できます。一方、食物アレルギーの発症要因の一つに摂取時期の遅れも指摘されています。

他のアレルギー疾患も検査より症状が大事です。花粉症は好発時期や外出時に目を痒がってツルツル鼻水が長引くこと、喘息はヒーヒーして苦しいを繰り返すことが診断に繋がります。アトピー性皮膚炎は多くの検査が陽性になることがありますが、検査陽性食物と症状が一致しないこともしばしばです。

アレルギー生活管理指導表更新のために毎年の受診が必要なことは間違いありません。小さいお子さんの食物アレルギーは年々軽くなることが期待できるからです。特に卵・牛乳・小麦は3歳までに半分近い方が軽くなります。受診が必要な理由は「今後の食べ方をどうしようか?」を相談するためです。そのために重視するのは摂取状況と症状経過であり、血液検査はあくまで参考なので毎年必須とは限りません。食物アレルギーガイドラインでは行き過ぎた検査を戒め、生活管理指導表には検査結果を記載する必要がないとも書かれています。

私たちが血液検査をするのは症状経過からアレルギーが否定できない場合に診断を固める「参考」としてです。典型的な症状であれば敢えて検査をせずに診断することもあります。また、定期的に検査を行うのは、症状が重かったり微量でも症状が出て、検査値も非常に高かった場合に、検査値の低下度合いから経口負荷試験を行うかを判断するためです。もともと症状が軽く、検査値の上昇も軽度であれば毎年行う必要はないと思います。

本当の検査は病院内で少量ずつ原因の食物を摂取して症状が出ないかを観察する「経口負荷試験」です。でも、時間がかかり、症状誘発の危険もあるため、色んな物を検査をすることは出来ません。検査よりも大事なことはおうちの情報です。初めて食べたのか、何度も食べれていたのか、今はどのくらいまでは症状なく食べられるのか、症状が出た時に食べた量や調理の仕方、症状が出るまでの時間、どんな症状であったのか、こればかりはおうちの方にしか分かりません。記憶はあやふやになってしまうもの。出来るだけメモに残して、受診前には前もってお電話で情報を教えてくださいね。過去のブログも参考にして頂ければ幸いです。

2019年11月6日疑り深い警備部長と「白身玉子」さんー食物アレルギーのお話ー

2017年5月21日卵のアレルギー

2016年2月13日食物アレルギーの見分け方(即時型反応編)

記事検索

カテゴリー一覧

年別一覧

ご予約方法はこちら

クリニック通信

リンク

診療日カレンダー