クリニック通信

2019年6月8日こみゅしょうの夜

2か月もサボっていたうちに、梅雨に入ってしまいましたね。6月5~8日はゴールデンウイーク診療の代休で連休を取ってしまいご迷惑をおかけしました。また、種子島に行ってしまいました(2019年1月3日ブログ「アイランドジャム in 種子島」参照)。思えば雨男の私が、先に梅雨入りした九州に行くなど無謀この上ないことです。しかし、お天気の神様がGWに働いたご褒美に1日晴れにしてくれました。穏やかな時間の流れる青い海と緑の山に囲まれた島で、若干20歳で「アイランドジャム」のロッジ管理とカフェのマスターをしている高野さんの優しいおもてなしでウミガメの産卵を見に行ったり、気さくなご夫婦で経営されている「オーシャンガイズ」で、シーカヤックとシュノーケリングを堪能しました。透明度の高い海で、たくさんの魚とウミヘビまで見ることが出来、幸せな時間を過ごさせて頂きました。本当にありがとうございました。ただ、翌日は大雨と強風になりました。離島のプロペラ機は飛べなくなりそうなので、やむなくキャンセルして高速船で帰りました。やはり雨男であることには変わりません。

先日の夜に筑波大学病院小児科の同期会がありました。研修期間中、辛かったことも、悔しかったことも、嬉しかったことも、ついでに眠かったことも共有した大切な仲間です。聞きたいことも話したいこともいっぱいありました。けれど、私の言葉は上っ面なことばかり。何を話せば良いのか頭は回らず、外来を終えて喋り疲れた喉は既に掠れて声が出せません。

 自分のコミュニケーション能力の低さにはいつもうんざりします。話のうまい、声の大きな先生や、5時間喋っても尚平気で喋るおかみさんが羨ましくなります。

 私がマイクをつけて話しているのは声の低さと滑舌の悪さで聞き取りにくいためですが、実はもう一つの理由があります。重症の喘息だった影響か、声門付近が非常に過敏性になっていて、喋り続けると2時間もしないうちに声が枯れて出なくなってしまうのです。最近は少しでも声を大きくすると、咳込みそうになります。喉を休めれば炎症は多少治まるのですが、仕事柄そうも行きません。

テレパシーを使えて、喋らなくても伝わればいいのにと思うことがあります。シュミレーションをしてみました。

 朝、中待合室で待っている親御さんに診察室から怪しい思念が伝わってきます。《眠い~、だるい~、、声出ない~、、、》。

診察が始まると《あー、この症状なら風邪で良さそうだなぁ、あれ?この所見はちょっと気になる、他の病気の可能性も。稀だけどあの病気も絶対ないとは言えない。この検査とあの検査と、、説明は、、お母さん心配そう。こう伝えると余計不安にしてしまう。あの言い方にしてみようか、、それにあれとこれとそれの話をしなければ、ついでに聞かれた湿疹と食物アレルギーの説明もしなければ、、既に倍以上診察に時間がかかってる。次の方の待ち時間が30分過ぎた。時間がない、急がねば!》、、診察中頭の中は常にフル回転でぐるんぐるん回っています。これが全部伝わってしまったら余計分からなくなりそうですし、相当うざいでしょう。

《この子泣きそう、聴診済むまで泣かないで〰️、あ〰️、泣いたぁ。お母さんにがっちりしがみついてる。前が向けない。まだ小さいのに何て力が強いんだろう。口は、、シャッター降りてる!隙間の出きる瞬間は、、もう少し、もう少しで、、あっ!、開いた!良し、見えた!。耳は、、耳垢!困ったあ》。

お昼を過ぎると、時々フラッシュバックが起こります。《胸にざらざらした赤い発疹。お腹空いた。顔の皮膚は滑らか。朝はトースト一枚。肘膝にも掻いた跡があるな、、お昼はおにぎり二個。保湿を充分にしてざらざらした場所は炎症を抑える軟膏を、ダイエットなんてするんじゃなかった。》。

更に、疲れてくると、考えなくて良いことまで浮かんで来ます。《聴診では気管支炎はなさそう。健兎。喘息の既往もないな。けんと~!。何考えてんだ!集中集中。 以前ヒーヒーした記載があるな、   、、、》 。

実際は相当集中しているのでフラッシュバックは滅多にありません。ただ、絶対ないとも言えません。どうも今以上に混乱と不審を招いてしまいそうです。

やはり、喋り続けねばなりません。ただ、伝えたいことは多いけど、今のように一方的に捲し立てるのは問題です。今より少し控えめに、看護師さんの説明補助も借りて、喉が今より悪化しないように頑張ります。聞こえづらい時は遠慮なく言ってくださいね。

もう一つ問題があります。電子カルテです。聞いたこと、考えたことを忘れないようにその場で入力せざるを得ないのですが、昭和の人なので3本指入力で、かつ斜め姿勢のためにブライインドタッチが出きません。患者さんの顔をきちんと見て話すべきなのに、ついカルテばかり見てしまいます。そこで、新兵器を購入しました。音声認識入力マイク。医療福祉機器展で見つけたのですが、医学用語も入っているし、認識精度もなかなか優れものです。でも、意外と簡単な言葉が誤訳されてしまいます。何故か「発疹」が「おっさん」と入力されてしまうのです。「腹部にじくじくとした発疹が複数認められる」と言うと、「腹部にじくじくとしたおっさんが複数認められる」と入力されてしまいます。これは患者さんには見せられません。やはり私の声質のもんだいなのでしょう。やっぱりテレパシーかなぁ。

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