クリニック通信

2011年9月19日発熱時の注意

お子さんの発熱はお母さんが最も心配する症状ですね。しかし、多くの場合、発熱は体の中でばい菌と戦っていることを示す生理的な反応でもあり、熱が高くても重い病気とは限りません。

発熱の特徴】

朝は元気だったのに、夕方になって突然の高熱に驚かれたことのある方も少なくないと思います。一方、その翌朝は熱が下がっていたので保育園に連れて行ったら夕方にまた発熱して呼び出しを受けた方もいると思います。一般的に熱は午前中に一旦下がり、夕方から夜にかけて再び上がる傾向にあります翌朝下がっても治ったわけではありません。熱の上がり始めは手足が冷たくなり、寒気・頭痛・腹痛・嘔気などを訴えてとても辛そうですが、上がりきると少し楽になってきます。最初の1〜2日は39-40度台の高熱になることもありますが、「かぜ」ならその後は発熱のピークが次第に下がり、多くは3~4日で解熱します。高熱でも他に強い症状がなければ重症とは限りません。但し、以下の症状を伴う時はすぐに受診してください。

注意すべき症状:けいれんを起こした、意識が低下して反応が鈍い、ぐったりして泣き声が弱い、ぜーぜーして苦しがっている、頻回に吐いて水分が全くとれない、生後3か月未満の発熱等

【安静と水分補給が最も大事な治療です。】

発熱の多くはウイルスによる感染症であり、安静と水分補給だけで2~3日のうちに自然に良くなってきます。スポーツドリンク等を少しずつ与えて下さい。水分さえ取れれば食欲が落ちていても数日は問題ありません。消化の良いものを少しずつ与えて下さい。

体にはもともと治癒する力が備わっており、お薬に頼らなくとも安静を保つだけで治る病気も多いのですが、逆に無理をさせると悪化することがあります。熱が下がっても体調が落ちているので、外出するとまた新しいかぜをもらうことになります。油断せず、解熱後最低2日は自宅で安静を保って下さい

【受診するタイミング】

もし自分に熱があったら、熱が高い時の外出はつらいですね。そのつらさを考えると他に強い症状がない限り、寒い夜間より気温が上がり体温の比較的下がりやすい午前中に受診した方がお子さんの負担が少ないと言えます。受診後2-3日は他の症状に変化がなく、比較的元気そうなら自宅で安静を保ちましょう。軽症であれば多くは3日程で熱が下がってきます。3日目の夜に38℃以下に下がってくるようなら一安心です。しかし、発熱が4日以上続く時(生後5か月未満は2日以上)はもう一度受診したほうが良いでしょう。この場合、昼間に下がっていても夜に上がるようなら熱が続いていると判断します。

上記した「注意すべき症状」を伴っている場合は時間に関係なく救急病院を受診してください

【熱型表の重要性】

発熱は長引くほど経過が重要です。その経過だけでも病状がある程度推測できるのですが、きちんとした経過が分からないと判断を誤る危険もあります。日々の熱の経過を言葉で説明するのは大変ですが、熱型表に記録すれば一目で病状が正確に判断できます。熱型表は受付でお渡します。このホームページからのダウンロードも可能です。朝昼晩1日3回は体温を測定・記録して是非持って来てください。

【それ以外の心配事】

「解熱剤を使ったのに下がらない!」

解熱剤は1時的に熱を下げて楽にしてあげる薬であり、病気を治す薬ではありません。持続時間は6-8時間前後で、効果が切れると熱は再び上がってきます。初日は使っても充分下がらないこともよくありますが、危険なサインではありません。逆に熱を無理して下げる必要があるのか?医学的には発熱は体の防御反応の現れであり、無理な解熱は小児科医の大半が否定的です。解熱剤の目的は熱が高くてつらい状態を楽にしてあげることです。39度を超えても元気なら使う必要はないし、不機嫌であったり眠りにくいようであれば無理に我慢させることなく38℃前後で使っても構いません。鎮痛効果もあるので頭痛や関節痛に使用しても結構です。最低8時間は空けて1日3回以内に留めましょう。尚、3か月未満の早期乳児には使うべきではありません。

「熱が高いと頭が馬鹿になる?内臓がおかしくなる?」

子供の熱は40度を超えることもよくありますが、高熱が脳や内臓に障害を与えることはありません。脳や内臓に影響を与えるのは、脳炎などごく稀れな合併症が起こった時のみです。その場合は頻繁に痙攣を繰り返したり、意識障害等の特別な強い症状がでます。熱の高さよりも熱に伴う症状によく注意して下さい。熱性けいれんは15人に1人くらいの頻度で起こすことがありますが、脳に障害を与えることのない良性の疾患です。50%は一生に1回だけで、残りも2-3回で6歳を過ぎると起こさなくなります。

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