クリニック通信

2019年1月3日アイランドジャム in 種子島

明けましておめでとうございます。よく晴れた穏やかなお正月ですね。柔らかな日差しに庭のビオラが少し落ち着いた顔で空を見上げ、健兎はケージの中で溶けたお餅のように平べったくなっています。私はお雑煮を突っつきながら、のんびりと病み上がりの体を癒しています。そう、29日にメディカルの当直を最後に年末の仕事を終え、ふっと気が緩んだのか30日夜から体調を崩していたのです。仕事中は病魔に付け入る隙を与えないのに、油断大敵です。院長室は今年も人の手が入らず、自然遺産に登録出来そうです。

忙しい年末でした。インフルエンザワクチンを例年より多い1800人に接種して、増やした分で診療枠を減らさないように診療時間を延長したため、昼休みの殆どない11時間診療が毎日続きました。流石にヘロヘロ、、逃げ出すように12月22~24日の連休を使って、種子島に行ってきました。何故種子島?実は、那珂市で小児科を開業している友人が、昨年種子島で「Island jam」と言うロッジを始めたからです。

種子島と言ったら、、鉄砲、ロケット発射場、柿の種(違います)、、なんで此処にロッジを開いたのだろう?先祖がポルトガル人?(これも違います)、ロケットに密航を企てている?(もっと違います)。「何もないよ~」と言ってました。「でも、それがいいんだよ~」とも言っていました。この言葉に心が動かされました。

出発日は正直ちょっと憂鬱でした。海に囲まれた南国の離れ小島→雨男の訪問→季節外れの大嵐→この忙しい時期に帰って来れなかったらどうしよう、、。実際、天気予報もパッとしません。留守番の健兎も不満そうです(近所の従妹に訪問介護を頼んだ)。お昼近くまでぐずぐずと家に居て、健兎に謝って、羽田はぱらつく雨。「やっぱりそうだよなあ」と一人愚痴てました。

鹿児島まで1時間45分。意外と近いものです。鹿児島は晴れていました。「えっ?もしかしたら、、」。そこから種子島へ40分。夕方に出たこともあり、低空で飛ぶプロペラ機から見下ろす鹿児島の夜景は美しいものでした。種子島からはレンタカーで10分、まだ新しいのでナビには載っていませんが、今はグーグルマップと言う強い味方がいます。で、近所で迷って友人の奥さんに出迎えてもらいました。

     

「Island jam」は手前がカフェ、奥にロッジと言う配置で、新しくてきれいです。シーズンオフなので他に泊り客はなく、独り占め出来ました。あ、おかみさんもいた、、。友人のこだわりが溢れています。共有リビングの広いテーブルはBlue tooth経由で、直接天板から音楽を奏でます。玄関には大きなクリスマスツリーとへにゃへにゃしたトナカイ。クリスマス気分を味わいたくて、それほど寒くもないのに暖炉に火を入れてしまいました。IH、オーブンレンジ、パン焼き器まで何でも揃い、広い浴室と洗濯乾燥機。トイレの蓋も自動で開きますが、何故かごみ箱まで通り過ぎる度に蓋を開けてあいさつしてくれます。不思議なこだわりです。部屋には大きな魚の抱き枕。2階の階段には誤って小さなお子さんが落ちないように保護柵が設けてあります。小児科医ならではの配慮です。宿泊しているお子さんの体調が悪い時には24時間対応で電話相談に応じてくれるとのこと。普段からやたら忙しいのにそこまでして大丈夫?

 ここに来てまで年賀状書いてる

翌日、晴れているじゃないですか!12月末なのに気温も20度を越し、上着が要りません。もともと暖かい地域ですが、例外的だそうです。そして風もありません。今年は夏のパラオで風邪に遭遇し(18/8/21「雨男、今回は、、、」)、花火大会は強風で中止になり(18/10/24「風男のバタフライ」)、流石に神様も哀れに思ったのでしょう。午前中はカフェで笠間焼の土鍋で炊いたご飯をのんびり食べて、ロッジで借りた自転車でサイクリング。午後はドライブです。目に見える全ての景色が私にとっては観光スポットでした。豊かな自然と、最先端技術のロケット発射場が何の違和感もなく、そこに収まっていました。彼がここに魅せられた訳が良く分かります。夕方は奥さんが懇意にしている牧場で子牛達に舐められまくりました。子牛達に許可を貰えなかったので写真はありませんが(と言うか、涎にまみれてカメラが持てなかった)、何でこんなに人懐っこいの?昨日生まれたばかりの子牛がもう立ち上がってミルクを飲んでいます。種子島は日本でも有数の黒毛和牛の子牛の生産地で、ここで育った子牛達が大きくなって8か月を過ぎると、ドナドナ~っと各地に出荷されて2歳頃まで育てられて松坂牛や神戸牛になるそうです。夜は和牛ステーキ。子牛達の懐っこさを思うと複雑な気持ちですが美味しかった~。カフェでは和牛を使ったミートローフやビーフシチューランチもたった500円でメニューに並んでいます。

  

最終日はお約束でしっかり曇って風も強くなりましたが、私は1日でも晴れてくれるなら大満足です。夜遅く帰り、翌日の連休明けの半端ない外来で魂が抜けました。

友人=「那珂キッズクリニック」の柏木先生は、私より若いのですが、クリニックでは先輩にあたります。才覚とエネルギーの溢れる人です。私が行っている日曜診療も彼を真似たもの。平日は私よりも遥かに遅い時間まで働く親御さんのために診療しています。待合室にはブランコまで下がり、そのまま保育園です。開院時には彼のクリニックから多くのことを学びました。彼は更に開院4年で病児保育を併設した保育園を立ち上げます。そして、お子さんの山村留学に訪れた種子島と救急医療提携(災害時に支援に赴く)を結び、そしてカフェ・ロッジの開設へと繋げていきます。何故、あれだけハードな業務をしているのにここまで出来るんだろう。夢に溢れているんだろう。日々の診療だけで消耗している平凡な私は、正直ちょっと自分が不甲斐ない気持ちになります。でも、背伸びをせずに自分に今出来ることを精いっぱいするしかないかな。

今回は(今回も)だらだらとした長い旅行記になってしまいましたが、もし、行ってみようかなと思う方がいらしたら是非訪れることをお勧めします。そして、今年もよろしくお願いしますね。

「Island jam」 http://www.islandjam-tanegashima.com/

「那珂キッズクリニック」  http://www.naka-kids.com/index.htm

 

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